立呑処へそ本店
東京都港区新橋3-12-3 アスティル新橋ビル1階
新橋に最近増殖している立ち飲み屋の中で、草分け的存在が「へそ」である。オープンは6年前。その頃はまだ5〜6軒の立ち飲み屋しかなかったという。当時まわりが焼鳥屋ばかりだったので、あえて大阪風串揚げの店にした。これが当たり、現在では新橋だけでも4店舗をかまえる大所帯となっている。
夕方6時半に行くと、もう店は満員だった。カウンター席では、一人呑みのオヤジたちがディープな世界を醸し出しているが、テーブル席にはちらほらと女性もいて、私でも入りやすい雰囲気だ。
さっそく生ビールと串揚げ5本の「晩酌セット」780円をたのむ。出てきた串揚げは、鶏肉、豚肉、ジャガイモ、ナス、タマネギの5品。こいつを「二度づけ禁止」と書かれたソースにつけて食べる。サクサクの薄い衣にあっさり味のソースがよく合って美味。正直、「揚げ物5品はきついな」と思ったのだが、これなら腹にもたれることもなく、いくらでも食べられそうだ。
「揚げ物の油は新しいものに毎日変えています。あと、ソースも動物系のダシではなく、野菜からとったスープを加えているので、サッパリしているのです」と店長。
毎週水曜日には、朝捕れた魚を富山から直送している。早い時間に売り切れてしまう人気メニューだ。本日はシマダイとカマスの刺身350円。カマスをたのんでみたら、さすがに新鮮で旨い! 串揚げだけではなく、刺身にも手を抜かない姿勢が好ましい。
豊富な定番メニューのほかに、串揚げも一品料理も毎月メニューを変えて、お客を飽きさせない工夫をしている。これなら毎日通っても楽しめる。料理はすべて手作りだ。
お好み焼きの串揚げ「お好み揚げ」には、マヨネーズで「へそ」と書いてある。ボリュームがあるので、ちょっと小腹がすいているときの一品だ。ソース味に飽きてきたら、キャベツをたのむといい。生キャベツをちぎっただけの一皿、なんと70円。いい箸休めになる。
奥のテーブルに陣取ったオヤジ2人組は、このキャベツと100円の枝豆だけをつまみに、チューハイを1杯ずつ飲んでサッと帰って行った。お財布を気にせずちょい飲みができるのも、立ち飲みの良さだろう。
店長に聞くと、お客の平均滞在時間は40分〜1時間。飲んで食べて、1500~2000円が相場だという。6時まではサービスタイムなので、なんと1000円以内で飲み食いできるとか。実際、私の滞在時間もちょうど1時間くらい。2人で3000円ほどだった。これでおなかいっぱい、大満足である。
あくまでもお財布にやさしく、おいしいつまみとお酒が、疲れたオヤジを癒してくれる。ここは会社から家に帰るつかの間のオアシス。サラリーマンの聖地、新橋に立ち飲み屋が乱立するのも当然なのかもしれない。